小説

『ハンス・フォン・カメ男爵とぼく』おおぬまいくこ(『浦島太郎』)

 でもいい。もうそんなことはちっぽけなことだ。乙姫さま、おっと、なおこお姉さんがどこにも行かずにいるだけでいいんだ。
 ぼくは、きっと自分の力で龍宮城を探しあてる。それまでには、深い海にもぐっていけるくらいたくましく、そして泳ぎもうまくなってみせる。もっともっと勉強もする。
 ハンス・フォン・カメ男爵、どうかぼくがいつかたどりつくまで、しっかり龍宮城跡を守っていてくれよ。

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