否!
断じて否!
分かってるんだよ、あんたは必ずそこにいる!
私はバッテリーが辛うじて残っているGグラブで、デイブ先輩の背中に張り付いた。
「何やねん、パイセン!」
「ほらやっぱり、昔話通りの外道ね!」
牛の背中に乗って一番に神様の元へとたどり着いたという話そのままに、やはりネズミの代表選手、甲子園子はデイブ先輩の背中に張り付いていた。
「なっ!いつからそこに?」
驚く先輩。てゆーか、今まで気付かずに駆け上がってきたあんたの体力と鈍感さに、こっちが驚かされるわ!
「離さんかぁ!」
「あんたこそ離しなさいよ!」
もみ合う私達、困惑しながらも走り続けるデイブ先輩。
「まず二人共、俺の背中から降りろや!」
「黙って登れぇ!」
キレた先輩に、私達はシンクロ逆ギレをお見舞いした。
「……はい」
先輩は私たちの迫力に気圧されて走り続けた。
その時、私のGグラブのバッテリーが警告音を発し始めた。もうすぐバッテリーが切れる!
それに気付いた園子がにやっと笑った。空を見上げるとゴールは目前。
「ほな、さいなら」
園子が飛び出した。
私にはそれに追いつけるだけのバッテリーは残っていなかった……とか思うじゃん?
私は姫乃さんから奪い取った分銅付きのロープを、斥力を使って上空に放った。
「何やねん、それ!」
園子はそれをあっさりと避けて、頂上の避雷針から跳躍した。
掛かったな、ネズミめ!
私はロープを握ると、デイブ先輩から手を離した。そしてゴールに意識が向いて、お留守になった園子の足元に重力場を生成する。