程なくしてその彼女は見つかる。
見窄らしい姿のシンデレラを見咎めず、王子は彼女に求婚をした。
最初は求婚に恐れ多く、渋った彼女であったが、それを受け入れ、婚姻する運びとなる。
――今日は二人の結婚式。多くの人々が二人を祝い、集っていた。
人々が集まる礼拝堂の控えの間で、シンデレラは結婚の儀が始まるのを待っていた。
「準備は大丈夫かい? シンデレラ」と控え間の扉から、王子が覗き込むようにして中を伺った。
「あっ……王子様。大丈夫です」
支度を終えたシンデレラは椅子に座り控えていた。純白の煌びやかなドレス。ふわりと浮かぶように脚を包むスカートの裾の下からは星のように輝き、揃え並ぶガラスの靴が見えた。
「とても素敵だよ、シンデレラ」と王子は言葉に劣らない素敵な笑顔で返した。
「あ、ありがとうございます……」
「ドレスもよく似合っている。そしてそのガラスの靴も君が履くと一段と煌びやかだ」
「え……本当ですか?」とシンデレラは顔を赤らめながら、ゆっくりと椅子から立ち上がると、その場でくるりと回ってドレスをなびかせ見せた。
「どうですか、王子様?」とはにかんだ笑顔を振りまく彼女。
「(あいたたた……)」
「げっ!」と何かに驚き顔が急にひきつるシンデレラ。
「ん? 何か声がしたような……」と不思議がる王子。
「き、気のせいですよ、王子様っ」
「(痛い、痛いっ!)」
「ちょっ……黙ってっ」と彼女は思わずに自分の足下に向かって何か言う。
「どうしたんだいシンデレラ?」と不可解な彼女の行動に心配そうに王子は声を掛ける。
「だ、大丈夫です! 何でもないんです! と、ちょっと外で待っていて下さいっ、お願いします、王子様!」と彼女は王子を押し出すようにして部屋から追い出す。
「ちょっ、シンデレラ……」