小説

『夏は気球に乗って』義若ユウスケ(『春は馬車に乗って』)

私たちは四人で仲よく朝ごはんを食べた。
そして私は笑顔で手を振って家をあとにした。

裏山。
いざ、気球に乗りこむ。
「お友達にさよならの挨拶はいいの?」
とモンテ・クリスト伯。
「ええ」
「ほんとうに?」
「いいの。誰にも見送りに来てほしくないから」
そうか。じゃあ、出発だ。

 
西瓜と南瓜が、空に舞いあがる。
夏。
東瓜と北瓜に思いをはせます。
「それじゃあ、まずはどこに行こうか」
と彼。
どこかでセミが鳴いている。
まだ夏は、もうすこし続くだろう。

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