小説

『夜鷹の星』春日部こみと(宮沢賢治『よだかの星』)

「巧いじゃないか」
 夜鷹とて雄だ。どこが好いのかくらいは見当がつく。
 濃く黒い茂みの奥にあるふたつの袋まで舐めて吸い付いてから、再び上へと戻り、その大きな亀頭を口の中に入れた。鷹のものは太く長く、咥えるのはとても大変だったが、夜鷹は頑張った。
 ――早く終われ……そうすれば。
 もう自由になろう。
 そう思っていた。
『かぎろい』となれば、もう『夜鷹』ですらない。
――存在しないなにものでもないおれなど、もう死んだも同じ。
 鷹が満足していなくなったあと、海に身を投げようと、そう思っていた。
 懸命に頭を動かして扱いていた鷹の一物が、ずるりと引き抜かれた。
 怪訝に思って目を上げれば、顔を上気させた鷹が険しい貌でこちらを睨んでいた。
「誰に仕込まれた?」
 何を問われたか分からずポカンとしていると、鷹はチッと舌打ちをして、夜鷹の尻を掴んで引き寄せた。
 そのまままた四つん這いのようにさせられ、弄られて膨れた菊の門に、怒張した亀頭を押し付けられる。
「まさか、おれ以外にもおまえのような醜子に手を出すやつがいたとはな。まったく迂闊だった……。ここも随分と緩いと思ったら、そいつにもう突っ込まれた後だったわけか」
 相変わらず何を言われているのかさっぱり分からなかったが、嘲笑うような鷹の物言いが空恐ろしく、夜鷹はただブルブルと首を振った。
 鷹はそれを鼻で嗤い、それから自分の男根を押し当てている菊座を指でくるくるとなぞった。
「おまえのここは、まるで星だな。赤くも黒くもなく子供のように無垢な星の形。顔はそんなにも醜いのに、尻の穴は桜のようなキレイな桃色だ」
 菊門に、ぐうっと怒張が押し込められる。
「ぅ、ぁああ」
 苦しさに喘ぐ夜鷹の背に覆い被さり、耳元で鷹が言った。
「なぁ、夜鷹。死んだら星になれるそうだ。『かぎろい』になって死んだも同然のおまえは、星になれると思うか?」
「……ん、ふぅううっ」

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