小説

『祈り』多田正太郎(昔話『雨乞い』など)

超モダンな、建物の壁の刻印。
人間の祈りについての行動観察研究所。
と、読み取れる、その大ホール。
巨大画面に、祈る姿が、映し出されている。
ガヤガヤ、ガヤガヤ。
子供たち、一応列をつくって近づいてくる。
そして画面の前に。
ガヤガヤが、あたりを完全に支配する。
 ハーイ! 静かにー!
引率の美人教師が、ありったけの声。
張り上げたが、聞き取れない。
 静まれー! 俺が、目に入らんか!!
 とてつもない大声。
 静寂。
ゴツイガタイの、イケメン研究員。
一括が、ものの見事に。
緑色の、面恋、顔、顔、顔。
とがった口を、ポカンと開ける子供たち。
頭に皿が、チョコンと乗っている。
これがまた愛らしい。
みなさーん、説明ちゃんと聞きましょうね。
美人・・、正確には、美人カッパ教師だが。
ハーイ! 一斉に、規律に順応したかの声。
よし、みんな、よく知ってるお話しだぞ。
話し始める、イケメン研究員。
勿論、カッパのだが、白衣姿がよく似合う。
まぁ、そんなことは、どうでもいいのだが。

カッパーラ伝説、みんなー、知ってるな。
我々カッパの、古い歴史の中でも。
最も、古い仲間の、その国に伝わる話。
 知ってるよー! だれだってさー!
 よーし、では、そのアニメ、見るぞー。

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