小説

『祈り』多田正太郎(昔話『雨乞い』など)

その、答えとか、誤魔化したり、してさ。

ああ、あのシーンですか。

まぁ、それだけないけどね。
全てにとっての祈り、のこととか。
それがさ、あるのか、ないのか、とかさ。
さっぱりだろー、答え。

分かりました、そのことでしたか。
なら、簡単ですよ、その答えとか。
見つける、祈り、してください。
明確ですよ。
見つけるための、祈り。
分かりやすいでしょ。

えっ?
ほら、またはぐらかして。
全然、明確でないけど。
まぁ、祈ってみるか、試しにさ。

ええ。

誰からも、忘れさられた、祠。
由緒とか、全く分からない、祠。
そこから、こんなやり取りが、ぼそぼそと。
聞こえたような、聞こえなかったような。

えー、ほんとじゃろか、なー?

ほらほら、またまた、はぐらかして。
終わろうとする。

祈り。
太古の時から。
途切れることがなかった。
全ての存在の、その源に、通じ繋がる。

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