小説

『白雪姫前夜』伊藤なむあひ(『白雪姫』)

裁判官4「静粛に! 静粛に! では被告人、お前に問うが途中にあった看板は読んだか?」

男「はい」

裁判官5「では書いてあった文章は読んだんだな!」

男「はい」

裁判官6「するとお前はそこにあった看板を見て、そこに書いてあった文字を読み、そこに書いてあったことを理解した上で我々の敷地内に侵入したというのだな?」

男「はい」

 再びざわめく法廷内。

 怒声が飛ぶ。

 ダンダン!

裁判官7「静粛に! 静粛に! 判決を言い渡す! 被告人は悪意を持って我々の敷地内に侵入し、我々のプライバシイを侵害し、世界への真理を盗もうとしたにも関わらず、反省の意思は見られず、罪の意識は全くない! 以上のことより被告人を極めて悪質な犯罪者とみなし、死刑を言い渡す! 尚、死刑の執行は世界の真理に則り明日の昼、太陽が被告人の真上にきたときとする!」

                    7、

 ちょうどその頃、車に取り残された『小柄な小学生なら一人くらいは入りそうな大きさのトランク』は夢を見ていた。
 とても幸せな夢だ。

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