小説

『白雪姫前夜』伊藤なむあひ(『白雪姫』)

                    6.

 薄暗い法廷。

 証言台には男が一人。

 そして裁判官席には男が7人、ぎゅうぎゅうに立っている。
 もちろんそれは全員、裁判官のふりをした芸術家だ。

 ダンダン!

裁判官1「静粛に! 静粛に! 今から裁判を始める! 被告人、お前は私たちの敷地内に無断で侵入したことを認めるか!」

男「はい」

裁判官2「では私たちの敷地内に入り、悪事を働こうとしたのを認めるか?」

男「いいえ」

裁判官3「では被告人、何故お前は私たちの敷地内に入った? まさかここが私有地だと知らなかったとでも言うのか?」

男「はい」

 ざわめく法廷内。

 ダンダン!

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