小説

『兎田俊介の謀』広都悠里(『ウサギとカメ』『カチカチ山』)

 お話はいつだって、もとの話の十倍百倍になって語られてしまう。
「だけど、いいかげん、もうあきたよなあ。そろそろみんな、新しいお話が必要だもんね」  
 ウサギはウサギの、カメはカメの、タヌキはタヌキの、自分だけの物語。
 そろそろ天然キャラのモテ男という設定にもあきてきたし、お前たちが新しい物語を始めるなら、僕だって。
 負けるわけにはいかない。

 そうさ。物語はいつだって、自分で作っていくものなんだから。

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