彼らとなら一緒にやっていける気がする。
一人が会議室から出て来て、先頭の一人が入って行った。
俺ともう一人だけとなった。
もう最終面接に呼ばれるくらいなのだから、きっと俺たちは同僚になるのだろう。
だから今のうちから挨拶くらいしても良いかなと思った。
でも、こういった場で話す内容も当たり障りないものだろうし、面接に集中しなくてはならないだろうから、ひたすら黙り、面接の問答のイメージをして時間を過ごした。
俺がこの会社を選んだ理由。
俺の長所と短所。
俺が大学時代に取り組んだこと。
俺の特技。
無い頭を使って考え、これまで何度も繰返して来たことを反復する。
今日の調子は悪くない。
面接を終えた先頭の彼が会議室から出て来て、俺たちに会釈をして去って行った。
上手く行ったように見えた。
いつだってそうだ。
隣の芝生が青く見える。
他人の方が優秀に見える。
俺の前の彼が中に入って行った。
今日で出口の見えぬ就職活動に終わりを告げるのだ。
この会社に勤めて、生活をしていくのだ。
それにしても暑い。
汗だくで面接を受けるのは印象が悪いのではないだろうか。
大丈夫だろうか。
もう一度、タオルで額の汗を拭うと俺の前にいた彼が出て来た。
俺に会釈をし、去って行った。
とうとう俺の番だ。