ツイート 「何だこれは」 用心深く持ち帰った中津は、春丘に手渡した。手渡された春丘は、不用心にも包装紙を破いた。そこには香ばしい匂いのするパンが入っていた。 「パンのほうがきた!」 春丘が眉を下げ、しかし喜んだようにも見える表情で叫んだ。 「かさこ地蔵かい!」 次に中津が声を上げる。 しかし嵐の夜である。二人の声は雨風の音にかき消されていった。 9/9 前のページ 3月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7 8 9