私は愚かだった。
最初は、ただ夢を追っていただけのはずなのに。
ほんとうに、どうして―――――(滲んでいて読めない)―――――』
『そろそろ筆を置くことにする。
斥候だろう戦闘機が上空を飛んでいるのが見えた。もう行かなければ。まだここでは死にたくない。
こういうのは、やはり故郷に限ると言うし。』
『これが私なりの「卒業」というやつだ。君は、こうはなるなよ。』
「俺さ、いつかさ、ビームとかだすよ!」
「こら、タカシ。口に物を入れたまま喋っちゃいかん」
「そうよ、行儀が悪いわ」
食卓の向こうから両親に諭され、タカシは目に見えて不満を溜めた。彼は反抗期を迎えて久しく、意地っ張りだった。
「……いいよ! なら、修行のせいか、ここで見せてやるから!」
「タカシ! 食事中に立つな!」
父の制止を振り切り、母の呆れを受け流し、タカシは無駄に洗練された動きで構えをとった。
その家族の行方は、以降、明らかでない。