呟いた後に残るのは、自分という存在の不確かさ。自分という存在の愚かしさ、自分という存在を気にする、気にしすぎるということそのものの、愚かさ。何ができる?何もできない?何もできないくせに、何かをしようとする。その愚かさ。生きているということそのものへの違和感だけが、彼女の頭に重く、もったりとのしかかった。
もはや少女は、言いようのない吐き気をもよおし、吐いた。吐いて吐いて吐き続けた。
そうして、吐き続けた先に、一本の細く白いものが自分の口から出ていることに気がついたのだった。
「あ、糸……」
少女は、糸を引っ張った。引っ張っても引っ張っても糸は切れることはなかった。
そうして、彼女は、それを天にかざし、愛おしく、憎らしく、眺めたのだった。
少女の耳の奥で、ささやくような優しい音が聞こえた気がした。