だから、あなたは、だから、もう、私と親友じゃなくても、よくて、それで、だから、今まで、本当にありがとう、と、そういう風に思っていて。ありがとう、っていう、だから、うん。」
少女が振り絞った言葉は、ふうわりと浮かんでいたが、それでも、親友は目を閉じて一つだけ重くうなずいた。
少女のやせ細った6本の足が立てた、カサリという音が部屋に響いた。
「あなたは、人間よ。毒虫なんかじゃない。」
そうつぶやいた後、親友はまた、口の端を曲げてニヤリと笑った。
その言葉は、あたたかく、やさしく、静かで、少女の体から、血の気を失わせた。
こういうところだ
いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも
少女の心は、惨めに黒くドロリと染まっていく。
誰にも見られず,誰にも触られず、存在すら忘れられるべき、黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い塊。
だから、そうして、だから、少女は毒虫になった。
親友が去って、一人残された部屋はひどく広く感じられ、
少女は、冷たい床の真ん中でいつまでも座り込んでいた。
グレゴールザムザは、さぞ悲しかったろうに
私はというと、
案の定、さして悲しい事はない
元々、毒虫
これからも毒虫
さして変わらない