小説

『スキル』わろし(『史記 孟嘗君列伝』)

 馮驩は眩しそうに目を細めて、
「私、ですか」
「そ。なんで?」
「なぜでしょうなア」
「なんで?」
 馮驩は答えず空を見上げた。
 夏が過ぎゆく高い空を、蜻蛉のつがいが風に乗り、悠々と横切っていった。

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