ツイート 「本当に、若いっていいわねぇ」 草太の後ろ姿を微笑ましげに見送って、祖母は一言呟いた。そして、踵を返し、とある一点を向いてゆっくりと祈るように唱えた。 「今日のよき日に紫陽花の金袋、紫色ぞ我がものと思え」 祖母が手を合わせるその先――玄関の引き戸の上には、昨日まではなかった一朶の紫陽花が、夏の朝の日差しを浴びてきらきらと輝いていた 13/13 前のページ 7月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13