小説

『イン・ワンダーランド』花島裕(『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』)

 もうちょっと、もう少しだけ。
 そのうちウサに本当の気持ちを聞けるかもしれない。私が好きなものを見つけたら、早苗と盛り上がれるかもしれない。猫凪さんとは…正直、わからないけど。
 私には帰るところがあるから、もう少し、やってみられる気がする。
 「明日は誰に話しかけてみようかな」
 失うものはない。当たって砕けろだ。
 私は明日の時間割をカバンに詰めこむと、久しぶりに深い眠りについた。
 

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