ツイート 「僕たちのかぐや姫。どうか嫁いでいくところが、最高の場所でありますように。故郷を懐かしむ暇もないほど満たされますように」 会場から温かい拍手がわき上がる。柔らかな雰囲気に包まれて、誰もが手放しで彼らを祝福していた。高砂席の新郎も、そっと美月の肩を抱き寄せる。夫に顔を向けた彼女の表情は、幸せそのものだ。 賢治は未だ、気取った格好で頭を下げていた。 妻が、彼の震える背に手を添える。 伏せられたままの顔が涙でぐしゃぐしゃになっていることに、気付く人は少なかった。 11/11 前のページ 第4期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11