メニュー

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ
               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

\ フォローしよう! /

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ

『リメンバーミー』ロジィ

  • 応募要項
  • 応募規定

 バーテンダーがするりと近付いて、俺に問い掛ける。息の詰まった喉が緩んで、ふっと力が抜けた。
「じゃあ、同じものを」
 かしこまりました、と軽く微笑んでバーテンダーは手を動かし始める。
「どうして」
 ユリが呟いた。ボルドーを施した指先で、俺のクマを突いている。カンパリソーダの残りはあと少し。
「どうして、目印がクマのぬいぐるみだったんですか」
 ユリの瞳にキャンドルの灯りが映って輝く。バーテンダーが、ハイボールをステアする。氷の音が聞こえる。
「ああ、それはね」
 そう言いながら、クマのぬいぐるみを手に取った。
「コスタリカって知ってる?」
 ユリの目が大きく開かれた。ハイボールを持ってきたバーテンダーが「お待たせしました」と言って動きを止める。
 そりゃそうだ。これは俺のとっておきなんだから。
 ユリはグラスを手にすると、カンパリソーダを飲み干した。彼女に流れ込んでいく赤。
「私にもおかわりを」
 そう言って、ユリは笑った。
「最後まで聞かせてもらいますから。あなたの話」
「よければ、私にも聞かせてほしいですね」
 バーテンダーも笑いながらそう言った。
 見ず知らずが集う場所で、見ず知らずが語り合う夜。
 今夜は長くなりそうだ。

8/8
前のページ

11月期優秀作品一覧
HOME

■主催 ショートショート実行委員会
■協賛 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社
■企画・運営 株式会社パシフィックボイス
■問合先 メールアドレス info@bookshorts.jp
※お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。

1 2 3 4 5 6 7 8
Copyright © Pacific Voice Inc. All Rights Reserved.
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー