「こんばんわ。」
懐かしそうに笑顔を向けながらカウンターに近づいてくる。
「めっちゃ久しぶりじゃないですか!すげー偶然!」
思わず立花君は興奮気味に声をだす。
「井上さんも、皆さん、お揃いなんですね。」
「いや、偶然。仕事で今日こっちに来たの。」
「私は今回はプライベートです。折角だからここに寄ろうと思って。」
「ありがとうございます。」
「あれ、完成しましたか?」
皆川さんは微笑みながら聞いてくる。
「おかげさまで出来ました。」
「良かった。結構気になってたんですよね。」
「飲まれますか?」
「もちろんです。『中部』を下さい。」
「分かりました。」
注文通りカクテルを作り始める。
「でも超偶然ですよね。すげータイミング。」
立花君の言葉にみんな同調する。働いていてこんな偶然が重なる事なんて初めての事だ。それより何より、二人がわざわざここに寄ってくれた事が嬉しかった。
その後はやはり47のカクテルの話になり、皆川さんも「やろう、やろう!」とやる気になった。相変わらず立花君はそれに対して苦笑いをするが、顔は決して嫌がってはいない。
そしてまた4人でガチャガチャ言いながらカクテルを作り始めていく。
何気なく始めた企画でこういった関係が生まれるなんて思いもよらなかった。
楽しい。
と、思える。
「あの・・・ちょっといいですか?」
四人の会話を聞いていた隣の男性が話かけて来た。
「今、宮城の話してます?」
「はい・・・。」
「宮城って言ったら『ずんだ餅』じゃないですか?」
男性は真剣な顔でこちらを見てくる。
また新しい出会いが生まれるのかもしれない。