何気なく居合わせた人間が紡ぎ出した結果は、偶然が重なった出来事ではあったが、そこに確かにあったのは愛だと思う。 男の子を見送ったあと、僕らまた席につき各々の時間を過ごし始めた。漫才のオチを考える芸人と、健康について話し合うマダム。落ち着いたクラシックが流れる中、僕は田中さんにおかわりの珈琲を入れる。 外は相変わらず湯気のたつ気温を保ち続けていた。 これはある暑い真夏の日、喫茶店での出来事だ。 6/6 前のページ 10月期優秀作品一覧 HOME