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『RED LINE(青空に舞う赤い糸)』新田塚道雄

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 金の糸が、ためらいがちに私の周囲の空間をぐるぐる回っていた。彼の左の小指にも既に糸が現れている。金の糸は私の周囲を凄いスピードで回り始めた。金の糸の先端が少し私の身体に触れた。その瞬間、私の心の奥底から『この人こそ運命の人』という感覚が込み上げてきた。思わずその感覚に没入しそうになった。糸の先端が私から離れた。途端にその感覚は消え、自分がなぜそんな気持ちになったのかわからなくなった。また糸の先端が触れた。また『この人こそ運命の人』という感覚に襲われた。これが、糸が見える見えないに関わらず、世の中の男女の出会いのときに起こる感情のプロセスの本体なのかもしれない。仕掛けを見てみたら意外と簡単だった。
「是非よろしくお願いいたします! どうぞお願いします!」
 彼は私の目を真直ぐに見つめて笑いかけた。その瞬間、私の心の壁は溶け、金の糸は私の左手の小指に巻き付いた。
 私は彼の目を見ながら、心の中で考えた。そうだ、私はまた新幹線の屋根から、風が舞う空中に、あの赤い糸を何十本も引きずりながら日本の色々な土地から戻ってこよう。旅客機の背中に何十本も赤い糸をたなびかせながら帰ってこよう。私が赤い糸の束をこの場所に運んでくる。彼がこのホテルでその糸をしっかりとつなぐ。
 そう思った瞬間、私の左手の小指に巻きついた金の糸は見る見る赤い糸に変わり、しっかりと小指に固定されていた。

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