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『約束の入り江』三雪春惣

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「へぇそっか。ともだちはちゃんと居たのね……おっけーおっけー。どんなおともだちが居たのかな? オジサンに教えてくれる?」
 母さんが言うには、一生懸命に咲ちゃんのことを話してたと言う。校長先生が優しく聞いてくれるもんだから、僕はつい、
「……オジサンは? おともだちになんて呼ばれてますか? オジサンって呼ばれてるの?」
 なんて調子に乗って、隣の母親の肝を冷やさせたという。ただ校長先生には大うけだったらしいけれど。
 その話の後、校長先生は僕の好きなこと、嫌いなこと、頑張ってみたいこと、不安なこと、他にも色々と聞いてきた。そして彼は、面談の最後に僕と母さんに微笑んで、
「アキラくんのような児童こそ、当校は受け入れたいと考えます。私には彼に学んでほしいと願う理由がある」
 そう言った。望月明、つまり僕は数日後に編入試験合格の通知をもらった。
 学園の中で高校一年まで進んだ今も、両親、特に母親からは校長先生に失礼のないようにと言われている。ただその人は現在、学園の学長になっているらしいから中々会うこともないのだけれど。
 学校の友達は優しい。何かと僕に気をかけてくれる。
 大きくなった今では、あの人が僕のどこに気を使ってくれたか、分かる。
 しかし、あんな面談の時にまで話題にするなんて、昔から咲ちゃんの存在が大きかったんだなと感じる。
 彼女はあの島で、何をしてるかな。
 答えは分かっている

 咲ちゃんは、今日も診療所にいる。


       3
 僕の部屋には、小さい窓が一つある。
 そこから、あの島が見える。子供の頃は「ボクたちの居る島ってどんな島?」なんて疑問を抱いていた。
 かたち、おおきさ、いろ。そんな島模様を友達と想像した。
「そんなのどうでもよくない? アイス食べよーよ!」
 咲ちゃんは、アイスの方が大事だったけど。
 そんな咲ちゃんとは、手紙で繋がっている。この前も「スマホが買えねぇ!(経済的に)」と嘆いていた。
 前に、手書きなんて面倒なことをさせて悪いと謝ったことがある。
「確かに面倒だわ。んじゃ手紙の頻度減らして、電話にしよーよ!」
 今では手紙だけではなく、電話でも連絡している。
 電話も採用したのに、手紙の頻度が少しも落ちないことが、本当に嬉しい。今日も太陽が沈みかける頃に電話する。
「………………」
「………………」
 忙しいかな。

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