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『ホテル狩人の宴』原豊子

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 LINEメッセージを開くと思った通り、『譲くん仕事お疲れ様。今晩は何を食べてるのかな?』という文章。それをまるっと無視して、『じいちゃんって猟師だったよね?』と打ち込む。間髪いれず既読がついたが、返事がくるまで時間が少しかかった。
『そうだけど、どうかしたの?』
『狩人の宴ってホテル知ってる? なんか山奥で猪とか捕って食べるらしいんだけど』
『ああ、それ奥平さんがやってるやつ?』
「まじかよ」
 まさか、知ってるのか、母ちゃん。期待していなかっただけに、まさかの返信にベッドから飛び起きる。てか、奥平さんって誰だ。
『詳しく』
 速攻で打ち込むと、また直ぐに既読からの待ち時間。
『奥平さんって誰?』
 遅い。
『母ちゃんの知り合い?』
 母ちゃんリニアモーターカー並みの返信頼む。
『お爺ちゃん友達の奥平さん、猟友会、ホテル廃業、借金多、新プラン使って数年前』
「ああああ! 断片的!」
 彼女なりに最速をマークしようとした意気は感じられる文面に譲は催促したことを少し後悔した。
『じいちゃんの友達でホテル業やってる猟友会の奥平さんが、借金が重なってホテルが廃業の危機で、それで新しいプランを始めたってこと?』
 新プランを使って、は作って、の打ち間違いだろうかと予測しながら解読する。
『そうそう』
 合っていた。
『奥平さんの連絡先分かる?』
 興業主が分かれば電話した方がはやい。母親から送られてきた電話番号をタップして、ちらりと画面右上に表示されている時間を確認する。二十一時十三分。早めに帰れたと思っていたが、人様に電話するような時間ではない。
 翌日、譲は九時きっかりになって教えて貰った番号に電話した。祖父の知り合いということはかなり高齢の筈だからもっと早い時間でも大丈夫かなと失礼なことも考えたが、知らない人なので常識的な時間を待つことにしたのだ。
「もしもし、私佐古田と申しますが、奥平さんのお電話でお間違いないでしょうか」
 数コールもしない間に繋がった電話に、少し緊張して仕事用の声を出す。
「……ああ?!」
「あの、佐古田と申しますが」
「あんだって?!」
 思わずスマホを耳から遠ざける。

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