思わず四人とも笑い声をあげてしまう。あっという間に明るい雰囲気が戻ってきた。
「言っとくけど、私の夫はダメ男じゃなくてしっかりしてる人だからね」
「はーい。わかってるわかってる」
「ほんとにわかってる!?」
菜子さんとまあやさんのやり取りに玲さんと一緒になって笑いながら、私はほっとしていた。この人たちに話してよかった。この人たちに出会ってよかった。出会っていなければ、一人で別れた後の寂しさを抱えてもうしばらく引きずっていたに違いない。彼女たちだから修也のことを話せたし、彼女たちだからわかってくれた。修也を知っている彼女たちだから。
「理紗さん」
カフェを出た別れ際に、玲さんは不安そうな声で私を呼び止めた。
「あの……また、こうやって集まってくれる?」
「もちろん。また呼んでよ。今日すごく楽しかった」
私の返事を聞いて安心したように玲さんの表情が緩んだ。
「よかった。修也が今まで何人の女の子と付き合ったか正確には知らないんだ、連絡来なかった人もいるし。それに、一回だけ来てくれて、結局こんな集まり頭おかしいって二度と来てくれなくなった人もいる。だから、理紗さんはどうだろうって思ってたんだけどよかった。これからもよろしくね」
「うん、よろしく。修也とかもう関係なくて、玲さんも菜子さんもまあやさんも、私の新しい友だちだよ」
玲さんだけじゃなくて、菜子さんとまあやさんも嬉しそうに微笑んだ。手を振り合って、私たちは別れる。
一か月と少し前、私は彼氏と別れた。一人になったと思った。だけどそれは違った。
私は恋人は失ったけれど、新たな友人を三人も手に入れたのだ。それも、かつての恋人が同じ人物だったという不思議な縁を通して。
ほんの少しの失恋の寂しさとわくわくした新しい何かを胸の奥に感じながら、私は軽い足取りで自分のマンションへの道を歩き出した。