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『修也会へようこそ』中村ゆい

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 半分の不安と、半分の興味。静かな部屋にたたずんで、手にしたメモをじっと見つめる。結局、好奇心には勝てない。私はメールを送るために、テーブルに置いていたスマホに手を伸ばした。
 こちらからメールを送信してから数時間後に、田中玲からは返信が来た。そこには会いたい旨と都合の良い日時を尋ねる丁寧な文面が並んでいた。
 やはり、彼女が私と会ってどうしたいのか、想像がつかない。私の好奇心を止めるものは誰もおらず、間髪入れずに仕事が休みの日を返信。かくして私と田中玲は、週末の日曜日、朝10時に顔を合わせることになったのだ、が。
 当日。指定された駅前には私を含む四人の女性が集まっていた。
 黒髪セミロングで白いカットソーに黒いパンツ姿の気が強そうな女性が一人。
 同じく黒髪でショートボブ、だぼだぼのTシャツにダメージジーンズという出で立ちの、どこか少年っぽい女性が一人。
 女子大生のような雰囲気の、明るい茶髪を丁寧に編み込みアレンジし、膝上丈のフリルたっぷりなスカートから細くて白い足を出している、姫系ファッションのちょっと派手な女の子。
 無地の地味なワンピース姿の私が一番無個性なんじゃないだろうか。ていうか、どの人が田中玲なんだ。
 そう思った瞬間、黒髪セミロングの女性が口を開いた。
「理紗さん、初めまして。田中玲です」
 ああ、あなたが。私はぺこりと軽く頭を下げた。
「初めまして、加藤理沙です」
 で、あと二人はなんなの。偶然同じ場所に居合わせた他人という感じではなく、玲さんの隣に平然と並んで立ち、私を見ている。すると、二人もそれぞれ私に向かって会釈をしてきた。
「廣田菜子。よろしく」
「林まあやでーす。初めましてー」
「はあ、どうも」
 玲さんも菜子さんも、まあやさんも、まったく雰囲気が違う三人だ。共通点は、20代前半から半ばくらいの女性というくらい。彼女たちに取り囲まれている意味が、私はわからなかった。それがよほど顔に現れていたのか、玲さんが苦笑する。
「突然呼び出してごめんね。来てくれてありがとう。私たちみんな、修也の元彼女なの」
「それで、定期的に集まって遊んでるってわけ」
「理紗さん、ようこそ! 修也会へー!」
 玲さん菜子さんまあやさんの順で矢継ぎ早に説明され、私の目は点になった。
 しゅ……しゅうや、かい?
「とりあえず今日はどこ行こうか」
 まだ混乱している私を放置して菜子さんが口を開く。
「暑いから水があるとこ! 海かプールか水族館がいいなあ」
 にこにこと返事をするまあやさんに対して、玲さんはふむ、と頷いた。
「海やプールは突然言われても準備してないから無理。水族館なら近くにあるし、そこにしようか。てなわけで理紗さん。今から私たちは一緒に水族館に遊びに行きます」
「え? す、水族館?」

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