メニュー

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ
               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

\ フォローしよう! /

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ

『ファニーホテル』南りり

  • 応募要項
  • 応募規定

「誰かのことをそこまで考えられるなんて、素敵なことですよ。」

 本心だった。私は本当は虚栄心の塊で、小説で芽が出ないことを察すると、就職活動で人気の広告代理店に入ることに目標を変えた。今は、毎日が忙しくて、恋をしている余裕などない。自分のことで精一杯なのに、やっぱり何者にもなれない。そんな私にとって、一途に人を好きでいられるのは羨ましいことだった。

「ありがとうございます。私の好きな人、同性なんです。」

「いいじゃないですか。告白してみたらどうですか。恋しているあなたが羨ましいです。」

「なぜですか?」

「私は、自分の夢にしか興味がもてない寂しい人間です。」

「あなたはあなたのままでいいんですよ。その夢、本当に追っていますか。」

 私は、掲示板の中から話し相手の声を聴き分けていた。その作業はまるで、雑踏の中で親友の声を見つけるように簡単なことだった。確かに、私は、高校生のときの夢を一度捨ててしまっている。

「少し、本当の夢を忘れていたみたいです。」

「じゃあ、今すぐ再挑戦しましょう。」

「あなたも、その人に告白するなら。」

「一緒に頑張りましょう。」

 ホテルの部屋に戻った私は、さっそくこの原稿を書き始めた。誰かが、弱く、でも確かに私の背中を押してくれた。それは、バーの奥にいた制服姿の女の子だったのかもしれないし、違うのかもしれない。

4/4
前のページ

8期優秀作品一覧
HOME

■主催 ショートショート実行委員会
■協賛 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社
■企画・運営 株式会社パシフィックボイス
■問合先 メールアドレス info@bookshorts.jp
※お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。

1 2 3 4
Copyright © Pacific Voice Inc. All Rights Reserved.
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー