「何飲みますか?」
「あ、じゃあビールで。」
サーバーに手をかけてビールを注ぐ。
「最後まで居てしまってご迷惑でしたよね。」
「そんな事ないですよ。」
目の前にビールを置く。
「ありがとうございます。」
こちらのグラスと合わせ一口飲む。
パタパタパタパタパタパタ。
「あ・・・。」
外を見ると雨がさっきより少し弱くなって来ていた。
「雨、このまま止むんですかね。」
「天気予報とだいぶ違いますね。」
「そうですね・・・。」
「止んでくれるといいですね。」
「そうですね。」
ウイスキーを一口飲む。
「・・・。」
二人で外を眺める。
きっと彼はこれから誰を待っていたのかを話し始めるだろう。
そしたらついでにこちらの話も聞いてもらおうと思った。
それくらい構わないだろう。営業時間外だし。
「あの、実はですね・・・。」
彼は恥ずかしそうにゆっくりと口を開く。
今日はちょっと長くなるかも知れないと感じた。
後で妻には『飲んで帰りますが、なるべく早く帰ります。』とメールしておこう。
パタパタパタパタパタパタ。
雨は弱くなって窓を打ち付けている。