『書に満てよ』
村崎みどり
(『文字禍』)
時代が降るごと、したためられる文字は増えるばかりだ。しかも、誰もそのことに疑問を抱かない。なぜ、文字は増え続けるのか。町の司書が出会ったのは、一冊の本と、それを手渡してくれた少女。古びた書物を手にした司書は、見知らぬ文字と出会う。
『恩返しセンター』
夏川路加
(『鶴の恩返し』)
ある夜、結婚を控えている健二と知美のアパートに謎の荷物が届く。運んできたのは「鶴の恩返しセンター」という珍妙な名前の宅配会社であった。さっそく荷物を開けてみると、かの昔話のように、真っ白な反物が入っていた。扱いに困った健二たちは、その反物を売りに出すことにしたが……。
『カムパネルラ』
ろ~~くん
(『銀河鉄道の夜』)
親から虐待を受け、友人も、頼れる大人もいない一見して不幸な少女は、自分自身を不幸とは思っていなかった。何故なら彼女のそばには、星の綺麗な夜にだけ現れる「カムパネルラ」という青年がいてくれたからである。