『男と鬼』
加藤照悠
(『桃太郎』)
片田舎にて、愛情深いお爺さんとお婆さんのもと、真面目で優しく健康的に育った男。やがて男は、村の危機を救うために立ち上がる。仲間も集まり、お爺さんとお婆さんからも期待され、旅立っていく男。実の母かもしれない人物との出会い。しかし、世間はなかなか厳しいようで…。
『空蟬の街』
広瀬厚氏
(『幻影の都市』)
毎日自堕落な生活を送る彼の暮らすアパートの北東に建つ、古い十階建てのマンションの上からたびたび人が身を投げる。そのマンションに大変色の白い女が住んでいる。噂によると、その女と関係を持った男は生気を吸い取られ、皆もぬけの殻のようになってしまうと言う。
『踊る双子の姫と踊らない僕』
和泉ミチ
(『おどる12人のおひめさま』)
大学を卒業して2年、僕は難関資格の勉強中で、生活のためにパン屋でバイトしている。バイト先とアパートの往復、機械化されたレジに仕事まで奪われそうな日々。そんなある日、帰路の途中の一軒の家が、ガラス張りのバレエスタジオになる。そこで踊る彼女に惹かれ、僕は、不思議な空間の扉を開けた。