『誠実な自供』
和織
(『兎と猫』魯迅)
そのとき決心したんですよ。元凶を消さないことには物事変わらないってね。別に、神になったつもりなんかありませんよ。あなた方、すぐそう言う風に考えるんですね。私はただ、微弱なから自分にできることをしただけです。
『素晴らしい朝』
義若ユウスケ
(『未来のイヴ』)
ある夜、大阪のバーで、飲んだくれの青年が変わった名前を持つ女と出会う。青年は女を家に連れ帰り、女の身体を自分好みのバイクに改造する。翌朝、青年はバイクに乗って走りだす……
『ローアングル蜘蛛の糸』
柘榴木昴
(『蜘蛛の糸』)
地獄に落ちた犍陀多に釈迦が垂らした一本の糸。救いの糸にむらがる罪人たち。一縷の光は鬼からすると前代未聞の脱走劇でもあった。プライドをかけて地獄の監督、森羅万象百鬼丸がまさに悪鬼羅刹となって立ち回る。
『お伽創始』
繁光
(『お伽草紙』太宰治『こぶとりじいさん』『浦島太郎』『カチカチ山』『舌切り雀』『桃太郎』)
サイレンとともにシェルターに入る一家。シェルターの中で、子供を退屈させないため、父親が、話をはじめていく。
『不完全変態』
緋川小夏
(『変身』カフカ)
人間嫌いの「私」の願いは、虫に生まれ変わること。ある日「私」は白い糸を吐き、繭の中で蛹になって成虫へと変態を遂げる。願いが叶い、ついに虫となった「私」が見たものとは……。
『Re:帰宅報告』
中杉誠志
(『待つ』)
友人も恋人もない、ひとり暮らしの孤独な会社員の納見ヒロは、会社帰りに自宅のパソコンに向けて「いまから帰るよ」というメールを送る奇妙な習慣を持っていた。しかしあるとき、無人のはずの自宅にあるパソコンから、「お待ちしています」という返信が来る・・・