『かぐや姫として生きてみる』
吉田大介
(『竹取物語』)
「そうだ、俺はかぐや姫であった。」ある日、中年男は自分こそがかぐや姫である、という設定で生きることにした。様々なシチュエーションに妄想を膨らませる男。自分は姫だから求婚相手は男?入手不可能な難題はどうする?
『ガラスの靴を、シンデレラに』
山本康仁
(『シンデレラ』)
年老いたお義母さんと同居するチカ子。彼女は毎日同じ時刻に通帳が無くなったと騒ぎ立て、チカ子を犯人扱いする。医者のアドバイスで散歩をすることになったお義母さんは、チカ子の新品の靴で足を踏み出す。
『そして、笠地蔵』
よしづきはじめ
(『笠地蔵』)
村一番の知恵者おばあさんと暮らすおじいさん。あるとき戦が始まって家の蓄えが尽き、笠を売りに市場へ。全く売れなかった帰り道、遭遇した窮地の侍たちに笠を渡して助けたことで、困った事態に…おばあさんのアイデアは。
『魔法は使えなくてよかった』
白土夏海
(『白雪姫』)
鏡はずっと罪悪感に苛まれていた。王妃に世界一美しい女性を問われ、白雪姫と答えてしまったことを。そのことで多くの人々が不幸になった。彼は今、ホストになり、全ての女性に答え続ける。「一番美しい人はあなたです。」
『赤いブラジャー』
五十嵐涼
(『赤い靴』)
家族は皆外出し、一人自宅に残された中年男性。ついに長年の願望を叶えるチャンス到来!とばかりに、上半身裸で鏡の前に立つ。その手には、赤いブラジャー。「いや、オレは…変態じゃない、オレは変態じゃない」
『てぶくろを編んで』
とみた志野
(『手袋を買いに』新美南吉)
透は、父親の死を機に実家の人形屋を継いだが潰してしまい、今ではさびれかけた商店街の「ぬの屋」で働いている。ある日、「ぬの屋」に小さなからくり人形が訪ねてきて、手袋が欲しいと言う。かつて透が作った人形だ。
『雪女』
宮本康世
(『雪女』)
毎年冬が深まると、おじいは決まって髪の長い美しい女の氷像を彫る。19歳になった“僕”は初めて、それが誰なのかを尋ねた。おじいは振り返りもせず、若い頃、吹雪の晩に雪女に出会ったと語った。すると壁が大きな音を立てた。
『映る花』
九条夏実
(『ギリシア神話-ナルキッソス』)
「何で私があんたの後始末しないといけないわけ?」幼馴染の瑞希は怒った顔が怖い。でも、華やかさはないけど、“ご家老”なんてあだ名をつけられていたけど、多岐穂は瑞希が好きだ。女の子としてじゃなく、友達として。
『枯れ木の花』
℃
(『花咲かじいさん』)
近所の公園や商店街に現れる落書き爺さん。清掃会社に勤める“私”は、実は世界的に有名な画家であるその爺さんと日々火花を散らし地団駄を踏まされている。ところがある日のパトロール中、爺さんが倒れているのを発見し…