『頭紐』
佐藤邦彦
(『頭山』)
自分の頭にできた池の中に身投げし命を絶ったという、不思議な先祖を持つ主人公。夢の中からお金やらお宝やらを現実の世界に持ってこられる能力を持つ。夢の中でも夢をみて、更にその夢の中でも夢をみてと、どんどん夢の地下へ地下へと潜っていきお金やお宝を発見し現実にと持ち帰るが・・・。
『ひきこもりハウス 魔法少女編』
紅緒子
(『注文の多い料理店』)
ひきこもりの僕は親が死にホームレスになるしかないと落胆していた。しかしハンドルネーム「王」から自分が管理するひきこもりを集めたマンション「ひきこもりハウス」に入居してほしいと誘われる。実は、ひきこもりハウスはひきこもりの臓器を集めるための政府による人口調整機関だった。
『続風博士』
長門長閑
(『風博士』坂口安吾)
諸君、驚くなかれ! 何と風博士は生きておられた。僕は偉大なる風博士の書簡を読んでどんなに深い感動を催されたであろうか。そして諸君はかの憎むべき愛娘、蟹娘の――あ、諸君はかの憎むべき蟹娘を御存じであろうか? 御存じない。では諸君は、まず悲痛なる風博士の書簡を一読しなければなるまい。
『GLOW』
日光一
(『マッチ売りの少女』)
雪の降る街を、誰かの願いを叶える灯火を持った少女が歩いていた。少女は自分に願いを叶えて欲しいと誰かが願うのをひたすら求めるが、他人に無関心な人々は誰もその言葉を信じようとはせず、ただ、歩き去るのみだった。これは一人の少女と幸福の物語。
『桜の下を駆け抜けて』
中江田江
(『桜の森の満開の下』)
優しくて綺麗だった妻は、死病を患って変わってしまった。僕は健康だった頃に交わした約束を実現させるため、ある夜彼女を背負って満開の桜を見に出かけるが、突然妻に首を絞められてしまう。その時、僕が見たものとは……。
『天狗』
上原芽久美
(『彦一ばなし』)
彦一に隠れ蓑を騙しとられてからの天狗の歴史は、真っ暗だ。まず、人間は、隠れ蓑狩りを始めた。そちこちの天狗が蓑を奪われたのだが、この隠れ蓑、簡単に作れる代物ではないのだ。
『燃ゆ音』
海老原熊雄
(『かちかち山』)
悠久の山と、山麓の町。そこにはひとりの”山守”がいる。今日、少女はその跡目を継ぎ、山へ挨拶に赴く。火縄銃に懐中時計。狸に兎。少女は、この山に連綿と伝わる不思議な獣たちと山守のお話の主役となるのだった。
『マッチは友を照らす』
朝宮馨
(『マッチ売りの少女』)
兄の病死をきっかけに禁煙した町田は、喫煙中の旧友と再会する。内心では喫煙者を原始人扱いする町田だが、友人には喫煙を許容する態度を取る。友人に行動の矛盾を突かれた町田は、彼が病魔に侵されていることに気づく。どう接するべきか迷ううち、町田は大切な人と他人との境界線に気づいていく。
『子捨て山』
中杉誠志
(『姥捨て山』)
若いお母さんが、夜泣きする赤ちゃんを連れて、夜の山へやってきました。そこは昔、姥捨て山と呼ばれた山。そこに赤ちゃんを捨てて帰ろうとしたところ、山の魔女が現れて・・・