対面授業始まったらこれ持って毎回授業でようかな、と言うと、毎日持ってたらサコッシュってあだ名付くよ、と真利亜が言い、やばいやばいと笑った。
ビルを出ると、夕方が近づいていて、陽射しにオレンジ色が混ざっている。音楽が流れて、空気があったかい。隣に友達がいて、ちょっとおしゃれになれて、私がなりたかった私かもしれない、と思う。私にもパワーがあると言ってくれたけれど、これは美容師さんのパワーだな、と思った。
ワンピースとバッグ探そう!と真利亜が私の手を引く。彼女の髪からか自分の髪からか、風にのって花束みたいな匂いがした。