○大賞:賞金30万円+ショートフィルム化
『観覧車の下で、会いましょう。』間詰ちひろ
○あらすじ:
入院中の祖母にお願いをされた春菜。封筒をある人に届けてほしいと言う。待ち合わせ場所は幼い頃になんども祖母と遊びに行った屋上遊園地だった。屋上遊園地で待ち合わせの時間にやって来た男は意外な祖母の過去を話しはじめた。
○選考理由
50年前に完成して以来、東急プラザ蒲田の屋上から数多の情景を見つめてきた小さな観覧車。その周りで暮らす人々の心のなかには、それぞれの思い出が刻まれている。主人公の祖母も、そのうちの一人だ。観覧車の完成間近、ある男性と約束を交わした際には、それが果たされるとは両者とも信じていなかったのかもしれない。それでも、回り続けた観覧車と同様に、記憶が失われてしまうことはなかった。二人の思いは時間を超え、形を変えて、孫たちに引き継がれる。孫たちもまた、観覧車とともに、これから新たな物語を育んでいくのだろう。