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『やわらかな雨は6月の記憶』はたのきょうこ

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「お父さんも気に入ってたよね、たしか」
 父を失い、母もまだ大きな欠落を埋められずにいる。父の話をするのは怖かった。
「そうね。『蒲田に住んでいたころが、一番いい時期だった』って言ってた。家族でいられる時間が多かったからでしょうね」
 母の言葉に「えっ」と思う。
「家族でひとところにいたのって、蒲田が一番長かったのよね。あなたが学校に上がるまでの時間、一番子育てが大変で、でも一番いい時間をあの町で過ごした。お父さんも私も」
 そういうことか、と思った。その町で過ごした時間のことを、父は言っていたのか。何か思い出したのか、母が「そうそう」と言って笑う。
「あなた、遊園地で泣いたのよ。3歳くらいのときだったかな。屋上遊園地があるでしょ。そこの観覧車に乗ろうとしたら『怖い』って泣いて、乗れなかったの」
 家族の記憶が残る町。私の人生最初の記憶が残る、ホームタウン。過去も今日の出来事も雨模様も含めて、その町の記憶はとてもやさしい。はじめて、「なつかしい」という気持ちがこみ上げ、目を閉じた。

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