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『想い』九

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 正直に言えば、本当の理由はわからない。なにしろ、このゴミ拾いは祭りが誕生した年と同じ年から行われてきたものだ。当時から、今のように町の人々が自然に集まって行われてきたと亡き祖母から聞いたことがある。理由を尋ねたこともあったが、祖母ですらわからなかった。
 でも、これだけは言える。
「この商店街への想いが強いからよ。だから、綺麗にしたい。そう思って、集まってくるの」
「そういうものなのか?」
「何年も商店街と関わっていれば、ミノルさんも自ずとわかるわよ」
 町の人々が集まったことを確認した田川さんが、「それじゃあ、そろそろ始めるとするか」と清掃を開始する。
 田川さんに倣い、私たちも行動を開始した。持ってきたゴミ袋を広げて軍手をはめる。眠そうだったハルカも、一生懸命ゴミを拾い始めた。
「お母さん。紙コップを拾ったよ」
「燃えるゴミはお母さんのゴミ袋に捨ててね」
「なんだか、お母さんが楽しそう」
「そう見える?」
「うん。お祭りの時より楽しそうだもん。でも、ゴミ拾いなのにどうして楽しいの?」
 ハルカの指摘通り、私はこの時間が大好きだ。
 脈々と受け継がれてきた商店街に対する想い。
 それを実感できるから。
 でも、ハルカに伝えてもきっと理解できないだろう。私がそうであったように。
 だから、満面の笑顔でハルカにこう言うのだ。
「大人になったら、わかるわよ」

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