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               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

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『想い』九

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 反省したのだろう。ハルカがしゅんと俯いた。
「おいおい。せっかくのお祭りなのに……」
 ハルカの様子を心配したのか。口を挟むミノルさんを手で制する。
 ミノルさんが言いたいことはわかっている。でも、躾というものはその場で行わないと意味がない。この場で理由を伝えるからこそ、ハルカは理解し反省する。だからこそ、心を鬼にして叱っているのだ。それに、ミノルさんが思っているような心配は、たぶん必要ないだろう。だって、私の娘だもの。
「よし。それじゃあ、たこ焼きを買いに行こうか」
「いいの?」
「たこ焼きを食べたいんでしょ? お母さんも食べたかったから、一緒に食べよう」
「うん」
 先ほどまでの表情とは打って変わり、ハルカは満面の笑みを浮かべた。そして、たこ焼き屋へと駆け出そうとしたが、はっと立ち止まり私に手を差し出す。その様子が微笑ましく、つい笑みがこぼれてしまう。
「一緒に行く?」
 こくりと頷くハルカの手を握り、たこ焼き屋へと足を運んだ。
「おじちゃん。こんにちは」
「こんにちは。ハルカちゃん。今日も元気がいいねぇ」
「たこ焼きをください」
「はいよ。すぐに焼くから、ちょっと待ってねぇ」
 慣れた手つきで鉄板に油を引き、生地を流し込む田川さん。そして、大きいタコを次から次へと入れていき、くるりくるりと軽快な手さばきで、たこ焼きをひっくり返していく。
「お待ち。熱いから気をつけるんだよぉ」
「ありがとう」
 受け取ると、すぐにたこ焼きを頬張るハルカ。予想以上に熱かったらしく、はふはふと口を動かしている。
「美味しいかい?」
「ふぅん。ほぉふぅひぃ」
 ハルカの返答に豪快に笑う田川さん。
「こら! 食べるか話すかどちらかにしなさい」
「まるで、昔のサナエちゃんを見ているようだ」
「私は、食べながら喋ったことなんてないです」
 ……たぶん。もしかしたら、忘れているだけかもしれないけど。
「おじちゃんは、お母さんの子どもの頃を知っているの?」
 たこ焼きを食べ終えたハルカが、小首を傾げて田川さんに尋ねた。
「知っているとも。小さい頃から、サナエちゃんはやんちゃでねぇ。あちこち走り回っては、怒られていたんだよぉ。いつだったかな? 確か小学一年生の時だったと思うけど、祭りの時に――」

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