チケットを買い、おばあさんと孫らしき二人の後に並んだ。何色になるかなあー、と小さな女の子が目を輝かせている。私たちはチューリップみたいな黄色いそれに乗り込んだ。窓に顔を近づけ、ゆっくりと視界があがっていくのをワクワクしながら楽しんだ。茶色い線路の上を、青虫みたいな電車がのんびりと走っている。模型みたいなビルたちは、どっちが空に近いか競い合っているみたいだ。
「こっちで一緒に住まない?」
景色に気をとられていた私は驚いて振り返り、彼を見つめた。
「ええよ」
照れ隠しにわざとコテコテな関西弁で答える。ホッとした表情で笙は私の手を持ち、自分の丸めた手を重ねた。私の手のひらの上で、鍵が転がった。
今度は彼が照れ隠しに外へと顔をむけた。
「おばあちゃんと、ここでよく遊んだんだ」
「黒ぶち眼鏡かけてへんかった?」
彼と手をつなぎながら、私はにっこりと微笑んだ。