メニュー

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ
               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

\ フォローしよう! /

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ

『妻よ、君がその手を離すまで』籐子

  • 応募規定
  • 応募要項


 箸で肉を掴んだ瞬間、娘から飛び火が飛んできた。
「いやぁ、親子だなぁと思ってね」
「はぁ?!」
 二人の鋭い視線が私に向けられる。私の発言が二人の怒りを増幅させたことは間違いない。私はゆっくりと顔を翔に向けて、笑顔で言った。
「翔、あとで良いものあげるからな」
「ほんと?やったぁ!」
 翔の元気な返事と笑顔で、その場を切り抜けた。
 孫の力は、偉大だ。

 食後、翔は目を輝かせながら私の部屋にやってきた。
「おじいちゃん、良いものって、なに?」
「お、これだよ」
 私はかわいく包装された箱を渡した。
「お母さんには内緒な」
「うん!」
 包装紙を勢いよく破る翔。子供には外見なんて関係ない。肝心なのは中身だけだ。
「あ!これ、古い形のやつだ!」
 翔は嬉しそうにバスを手に取って眺めた。私が昔から与え続けたからか、いつしか翔もバスが好きになっていた。
 翔は興奮して、美鈴のいる茶の間へと走っていった。
「おかあさーん!」
「あ…翔!」
 言ったときには既に遅かった。
「お父さん!だから!毎回おもちゃ与えないでって言ってるでしょ!」
 遠くから美鈴の怒り声が飛んできた。
 私は聞こえないふりをして、しばらく自分の部屋で横になることにした。

 翌日、私は巡回バスの担当だった。早起きした翔は、眠い目をこすりながら私についてきて、バスに乗った。扉側の一番前の席が翔のお気に入りの席だ。
 商店街近くのバス停から、でんちゅーが乗ってきた。
「よぉ、翔ちゃん。おっきくなったなぁ」
 突然声をかけられた翔は、ビクッとして後ろの席に座ったでんちゅーを恐る恐る見た。
「でんちゅーおじさんだよ。覚えてるか?」
「…あ!おもちゃ屋のでんちゅー!」

5/12
前のページ / 次のページ

第2期優秀作品一覧
HOME


■主催 ショートショート実行委員会
■協賛 東急プラザ蒲田
■協力 蒲田西口商店街振興組合
■問合先 メールアドレス info@bookshorts.jp
※お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
Copyright © Pacific Voice Inc. All Rights Reserved.
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー