そばでまた観覧車が動きだし、見つめていると、ゆっくりぐるぐると動いていくさまがまるで自分のようだと思った。いつも同じような悩みで、同じような生活で、でも雨風や時間とともに少しずつ傷んで行く。そんなことが、幸せ、と書かれていた。もしかしたら私も幸せなのだろうか、それとも、これから幸せとドーンと言えるようになるのだろうか。
青、さみしい。紫、うらやましい。ピンク、大好き。赤、強い気持ち。黄色、はじけたい。ひとつひとつのゴンドラの色が、いろんな気持ちを乗せているように見える。ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐるする。
遠くから零美が、えみちゃーん! 楽しいよーしあわせー! と叫びながら乗り物に乗っている。私は、はーい、と手を振りながら立ち上がる。幸せが色々あるなら、どれが自分の幸せなのか分からないけど、ぐるぐるしながら求めて行くしかない、と思った。
街を見下ろす屋上で、誰かの生活を見つめる。私は、歳をとっても、子供を生んでも、ひとりぼっちでも、どんな形であれ幸せと少しでも思えますようにと願った。