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『自然な流れで、ホッピーで。』鷹村仁

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 そしてその日の営業中に実家に帰る事、三日間ほどお休みが欲しい事を伝えた。マスターは「じゃあ両親に食べさせてあげなよ」と丁寧にホウボウの捌き方を教えてくれた。もちろんお休みもくれた。

 自宅に帰り、買ってきたホッピーと焼酎を冷蔵庫に入れ、グラスを冷凍庫に入れた。マスターにホッピーの飲み方を教えて貰った。『3冷』が美味しいらしい。ホッピーと焼酎をよく冷やし、グラスをキンキンに冷やす。これが『3冷』。ちなみに焼酎は甲類。クセがないのでホッピーを割るのに適しているらしい。
 風呂に入ったりしながら一時間くらい待って、さっそく飲んでみる事にした。凍ったグラスに、良く冷えたホッピーと焼酎を注ぐ。
「うん、美味い。」
 良く冷えてて、ほとんどビールだ。飲み応えもある。ホッピーの瓶を見るとプリン体ゼロ、低カロリー、低糖質と書いてある。なるほど、健康志向か。父親やマスターが好きな理由がここにもあるのかもしれない。もう一口飲む。
「・・・。」
 美味しい。これなら他のアルコールと割ってもおいしいかもしれない。ジンとかウォッカとか、梅酒なんかも合うかもしれない。なかなか良いアイディアなので今度マスターに言ってみよう。そんな事を一人で勝手に考えながら、もう一口ホッピーを飲む。
「あ・・・。」
 よく見ると、ホッピーのラベルに、『3冷』と今考えていた事がすべて書いてあった。

 俳優の事務所にも実家に三日ほど帰省する旨を連絡しOKを貰った。
 そして福島行きの新幹線に乗った。なんだか新幹線の中から緊張し始め、父親と何を話そうかと思いを巡らせてしまう。仕事の事、アルバイトの事、生活の事、その他何があるだろうか。
「ダメだ・・・。」
 外の景色を眺めながら考えていたが、何をどう話せばいいのかはっきりしない。第一父親は自分を受け入れてくれるのかすら怪しい。母親の言った事を鵜呑みにして本当に良かったのかと今更ながら不安になる。
「大丈夫よ。あんたが帰ってくるって言ったらお父さんソワソワしてるんだから。この前行ったばっかりなのに、昨日また散髪してきたのよ。」
 母が電話口でケタケタ笑いながら言う。あの文句ばかり言っていた鬼のような父親がそんな風になっているなんて想像できなかった。
「あんたの送って来たホッピーも勝手に飲んでるのよ。『それ、勇太からよ。』って言ったら『なんだ、金は大丈夫なのか。』ですって。勝手に飲んでおいてよく言うわよね。」
 また母が笑いながら言う。母から聞く父は8年前までの父親と違うが、実際に会うとまた喧嘩してしまうのではないかと心配になってしまう。
 あれやこれやと考えていたら、『福島、福島』と到着の車内アナウンスが流れた。
「・・・。」

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