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『ホッピーの店』大田陽介

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「来週飲み行く事になってんだけど、断ろうと思ってるんだよね」
「なんで?行けばいいじゃん」
「いやぁ、乗り気じゃないんだよね」
「意外にいい子かもしれないよ?」
「ないない。第一こういう加工された写真載せる子はちょっと苦手で」
「じゃあ、何で飲み行くって話してるんだよ」
「それもそうだよな」
健一は、こういう面倒くさい所がある。好きじゃないくせに優しくしたり、でも好きじゃない人から好かれると困るから急に突き放したり。ようは、いい奴だがコツを抑えないと面倒な男なのだ。
「すいません、お代わり二つ!」
私は焼き場に立つ男におかわりを伝えると、健一が、「お、ありがと」と言いカランと氷を鳴らしながら残ったホッピーを飲み切る。
「あいよ。3番さん中ツーねー!」
なか?
その流れで男は焼きあがった串焼きの乗った皿を差し出す。
「はい、ねぎま2本ね」
「ありがとうございます」
健一が受け取った皿の上には、程よく焦げ目のついたねぎま串が2本仲良く並んでいる。
「はい、続いて中ねー」
男が小さなコップに入った氷と焼酎を、それぞれの空いたジョッキに注いでくれる。なるほど。ホッピーはまだ残っているから、中の焼酎だけをお代わりするという事なのか。
「うまそ~」
健一はスマホを取り出し、ねぎまの写真を撮っている。
「あ、ホッピー入れて撮ってないじゃん」
すかさず私が指摘する。それぞれが、ジョッキにホッピーを注ぎ、ねぎまの後ろに色の違う2つのジョッキを仲良く並べる。スマホで写真を撮る健一。
「あとで写真送って」
「おっけー」
それぞれ軽くグラスを掲げ、再びホッピーを口に含む。1杯目は、やや強く感じた焼酎の味も2杯目になるとほとんど感じなくなる。これが酒の恐さだ。焼きたてのねぎまを嬉しそうに頬張る健一の表情を見ると、私が作ったわけでもないのに、なぜか嬉しくなる。私もねぎま串にかぶりつく。
「あれ、そういえば代理店男は?どうなったの」
健一の質問が絶妙なタイミングだったのと、かぶりついた鶏肉が想像以上の熱さだったことで、私は一度鶏肉を口からだしてしまう。
「うわ、きたねーよ」
笑顔で突っ込む健一に悪意はない。
「いや、想像以上に熱くてさ」
代理店男の質問もはぐらかそうかと考えたが、いい返しが思いつかない。
「で、代理店はどうなったの?」
「やったよ。そして、捨てられた」
「は?マジで?」

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