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『HOPPEOPLE』室市雅則

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 昨晩はよく寝たはずなのに、一つあくびが出た。
 ホッピーのラッピングがされたトラック通称「ホピトラ」がツアミの相棒である。
 以前は長距離トラックの運転手をしていたのだが、年齢もあり、長い距離を走るのは辛くなったので、ルート配送ができる今の会社に就職をした。
 ガムでも噛もうとポケットに手を突っ込むと、一枚のレシートが出てきた。
 昨日、孫娘と一緒に行ったアイスクリーム屋のものだ。
 その店には多くの種類のアイスがあったので、どれを選んで良いのか、さっぱり分からなかった。
「ちーちゃんはね、キャラメルとチーズケーキ」
「よく知ってるね」
「うん。じいちゃんは何味にするの」
 ケースを眺め、商品名を見てもやはり分からない。それに、いい年の爺さんが『ラムレーズン』とか注文するのには躊躇してしまう。だから、バニラにした。
 会計をしている間、孫が後ろを興味深そうに見ている。
我々の背後には、外国人の女性が並んでおり、アイスを選んでいる。
そして、『ポッピングシャワー』と、とても良い発音で注文をした。
 孫は気に入ったのが、『ぽっつぴん。ぽっつぴん』と女性の真似をし始めた。
 女性はそれに気がつき笑っていた。
 しかし、どうも気まずい。
「すみません。ソーリーね」
「カワイイネー」
「ちーちゃん、行くよ」
 お釣りとレシートを受け取って、ポケットにねじ込んだのだ。
 店から少し離れた所にあるベンチに並んで腰掛けて、アイスを食べ始めた。
「美味しいけど。次は『ぽっつぴん』がいい」
「そうか」
 そう言いながら、『ぽっつぴん』と自分が運ぶ『ホッピー』の語感が似ているなと思った。
「爺ちゃんは、ホッピーを運んでいるんだよ。トラックだって、ホッピートラックなんだよ」
「ホッピーって、何?」
「飲み物だよ。ちーちゃんにはまだ早いかな。大人になったら美味しく飲めるよ」
「えー」
 頬を膨らませた顔が可愛らしかった。
「今度は『ぽっつぴん』食べに来ような」
「うん」
 そう言って、二人はアイスを口に運んだ。
 孫の愛らしい顔を思い浮かべていると窓ガラスを叩かれた。
 工場のスタッフであるホシカワが立っている。
 窓を開けて、顔を出す。

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