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『幸せの香り』三島潤一

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 日本人はお酒が入らないとお喋りが下手だとか言いながらも、ジャスミンこそお酒が入って饒舌になっている気がする。でも彼女の主張はしっかりと伝わってくる。
 「おしっこ!」と彼女は急に言って、それとほぼ同時に席を立って、つぎのタイミングにはいなくなっていた。自分のまわりが静かになり、温度すら下がったように感じた。気づけば両隣にいた客もいつの間にか帰って居なくなっている。僕は、僕以上にもの寂しそうに転がっていた枝豆を口に運び、おしぼりで右手の指と口元を拭った。時計を見ると二十二時をまわったところだった。

 もちろん英語くらいは喋れるようになればいいなと思っている。学生時代も別に英語は苦手ではなかった。むしろテストの点数は悪くはなかったので、好きな科目と言ってもよかった。でも外国人と会話をする機会なんて皆無だったし、何度か行った海外旅行でも、英語を喋ってみようという好奇心よりも、自分の英語が相手に伝わらなかったらどうしようという不安の方が大きかった。なまじっか得意意識のある英語が、肝心の実践時に通じないことで全否定されるかもしれないという恐怖心ばかりが僕に纏わりついていた。
 でも、お酒と一緒で、誰かと楽しく会話をする手段のひとつと考えれば、英語を覚えるのもいいのかもしれない。いや、広東語の方がいいのかもな。ジャスミンが喜びそうだ。カッコいいとか、有名とか、メジャーとかではなく、その人との会話、時間を楽しむことが一番だ。ジャスミンとホッピーを飲みながら、広東語で会話をする。それが僕らにとって、とてもハッピーな時間のような気がする。ところでハッピーって広東語でなんて言うのだろうか。ジャスミンが戻ったら、まず教えてもらおうと思った。

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