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『Time to HOP!』石澤明

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 煩雑で時間のかかる作業が無駄な部分を多く含んでいるということは皆なんとなく分かっていたけれども、それを口実に残業をしていた人もいる。それが生活の収支に影響を与える人も。
 「働き方改革」ってパフォーマンスを引き出すことが目的で別に残業時間を減らすことが目的じゃない。
 でも私は残業はできるだけしたくないから、しないで済む方法を考えただけ。
 残業したいなら、すればいい。きちんと仕事は自分で作ればいい。それが稼げる仕事であればいい。
 それだけなんだどね。
 そういうのは、伝わっていない。

 優良顧客を課長の指示で平野君に引き継いだ後、当然のことながら私の売り上げは激変している。にもかかわらず年次を考慮すると課せられる目標設定はいままで通り、どころか「お子さん、手がかからなくなったんでしょ。ベテランなんだし、期待しているよ。」とばかりに増やされた
 では、何をすべきかといえば新規開拓しかない。
 この半年間、平野君への引き継ぎとフォローに時間を取られながらも、試行錯誤をして新規取引先の開拓に苦心してきた。正直「新規開拓」と言われたときは一体どんなやり方をすればいいのかすらわからず途方に暮れたが、何とか仮説をたてアタックリストを作っては訪問し、それがダメならさらなる仮説を・・と繰り返してきた。
 ここでようやく努力が実り大口の新規顧客との基本契約を締結するところまで漕ぎつけることができた。ココノエデリカに匹敵する売り上げを年間であげることが見込まれ、喜んで契約のための稟議をまわしているのに、課長のところでワークフローをもう二日間止められていた。
「課長、すませんが廣田化成様の契約書の稟議ですが・・。」
「ああ、あれねー。内容に不備があったから平田君に修正頼んで稟議出し直している。今部長のところまで回っているんじゃない?
 久住さんの申請は取り下げしておいてね。」
 ありえない。いろいろありえない。
 うちの営業課では新規契約の稟議を回した者が担当者となるという暗黙の、いや当たり前のルールがある。私が苦労して開拓した顧客まで平田に担当させるというのだろうか。
「すみません。不備とは具体的にどういうことか教えてください。」
「ああ、えーと、法務確認とか?」
「済ませています。照会内容も添付していますが。」
「えー、じゃああれだ、契約条件のさ・・。」
「稟議を上げる前に先週の打ち合わせで課長にご確認いただいた内容です。」
「・・・だってさあ、久住さんさてさ、いつもいないじゃん。外回り忙しいのはわかるけどさ、ちょっと確認したいときにいなくてさ、こっちもそれじゃ不安になるわけ。それで大丈夫なのかって、ね。だから平野君にお願いしたのよ。」
 何を言っているのか。先週の詳細説明の後も何度も顔は合わせている。
 いくらでも確認の時間はあったはず。

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