俺は、ふと思った。桂樹くんの話によると、杉本さんは医師に余命1カ月と宣告されていたらしい。もしかしたら、退院したあとに俺の部屋で飲むというあの約束は、ホッピーが好きな俺とそれを覚えたばかりの桂樹くんをより親密にさせるための、杉本さんの作り話だったのではないか。約束を実現させる可能性は極めて低かったのだから。
どんなかたちであれ、杉本さんは、桂樹くんという「素晴らしいホッピー仲間」を俺に贈ってくれた。
ありがとう、杉本さん――。
息子の桂樹くんと一緒にホッピーが飲めることに感謝したい。
毎週金曜日が楽しみだ。