言葉に出来ない爽快感。喉元だけじゃなく心の中まで染みる気がする。
「で~どんな活躍だったのか聞かせてよ!」
香織さんに促されて、ほろ酔い気分のまま昨日の顛末をみんなに披露した。
箸と醤油を必死に運んだけど、お寿司はすでに食べられた後で結局何の役にも立てなかったと言う所で、みんなは一斉に大声で笑った。
「亜希、いい仕事した!」と満面の笑みで言う正樹君。
その後も先輩リーダー達はそれぞれの失敗談を聞かせてくれた。みんな当時の苦労話しをしみじみ話す。あの香織さんまでもが。そして話しながら何故か楽しそうに笑うのだ。
たった一晩で昨日の苦労が報われた気持ちになれた。
ホッピーというお酒には働く人を癒してくれる何かの魔法が掛かっているのかもしれない。
社会人になってもきっと繰り返す失敗があるだろう。
その時は迷わずホッピーを飲もうと思う。
「でさぁ~あんた達、付き合ってんの?」
香織さんが唐突に言った一言にみんなが一斉に注目する。私と正樹君に。
図らずも正樹君と視線が合うと耳たぶを真っ赤にして動揺していた。