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『背負い水』もりまりこ

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「こやって、みんな集まって呑んでたら甚さん帰ってくるかもしれないよ」
 優さんが、悪戯っぽく低い声で言った。
「ほんとほんと。優さんは以外とシックスセンスあるからね」
 海さんの言った意外とってなんなのよって優さんがつっこんだ。
「俺聞いたよ、迷い猫でもさんざん探して、みんなが集まってくる時にふらっと何事もなかったように帰って来たって。バイトのチマちゃんが言ってたもん」
 海さんがそう言った時みんな口々に「甚さん、猫っぽかったなそういや」ってテンションがあがったとき、ふいにみんなが黙った。
 誰かに黙らされてるみたいにしーんとした。
 ふと会話が途切れると「天使が通ったね、いま」って呟いていた甚さんの声を思い出す。ちょっとだけ喉の奥が苦くなる。
 その無音があたりを覆っていた時、突然<風音>のカウベルが鳴った。
 いつもより大きく、やわらかく。
 そこにいたみんなが息を呑んでその音を聞き入っていた。
 扉が開く。
 触れている指が冷たくなって、ホッピーの入ったグラスのなかをみる。
 それはいま時間が止まったようないまからなにかが始まるような生まれたての琥珀色をしていた。

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